天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「フン!」

空気を切り裂く音がした。

「キャッ!」

廊下を転がる優。

「ば、馬鹿な!」

思わず後ろに後退るリオ。

「は!は!は!」

カルマの放つサイコキネッシスは、九鬼の残像にしか当たらない。

窓ガラスが割れ、綺麗に整頓されていた教室内が、吹っ飛ぶ。

「は!」

後ろに出現した九鬼に向かって、振り向きながら手を突きだした。

しかし、その時には、九鬼はカルマの後ろに回っていた。

カルマの腰に手を回すと、そのまま後ろに投げた。

脳天から、床に激突するカルマ。

「さらに、強くなっているようね」

神流が楽しそうに、笑った。

「フン!」

九鬼は気合いを入れると、構え直した。

「お、おのれえ〜!」

リオは、震える拳を握り締めた。

「何を怯えている」

その時、再び奥の階段から、誰かが姿を見せた。

「お、お父様!」

リオと梨絵の表情が変わった。

「!」

九鬼は、廊下に現れた結城哲也を睨んだ。

「我々の力を結集すれば、勝てぬ相手ではない」

哲也の体が、女に変わる。

「装着!」

乙女プラチナになった哲也が、リオ達をかき分け、前に出る。

「久しぶりだな。九鬼生徒会長」

哲也は、にやりと笑った。

「その姿!どうして、その力を!月影の力は、奪われたはず」

九鬼の言葉に、哲也は両手を広げ、

「そう!我々は敗北し、月影の力を失った!しかしな!虚無の女神が、くれたのだよ!新しい力をな!」

歓喜の表情を浮かべた。

「新しい力?」

「そうだ!我々はもう月影ではない。敢えて言おう!」

哲也のプラチナの戦闘服が、輝きを増した。

「月無(げっむ)と!虚無の女神の戦士!月無とな!」

「月無!?」

「さあ〜!九鬼真弓!いや、月影よ!お前は、ここで死ぬのだ!虚無の女神の為にな!」

九鬼の周りを一斉に、月無の戦士達が囲んだ。
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