天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「ここは、魂の牢獄!」

九鬼を囲む月無達。

「ここ以外では、お前を殺すなと!虚無の女神はおっしゃった!」

哲也は一歩前に出た。

「この校舎は、ムジカ様の領域!死しても、魂はここから逃げられない!」

「…」

九鬼は無言で、間合いを計っていた。

「お前をここに誘き出す為に、生徒を殺していこうと思っていたが…まさか、一人目で来るとはな!」

「服部…」

九鬼は唇を噛みしめると、その場から消えた。

スピードを上げ、一気に哲也達を蹴散らそうとしたのだ。

「忘れた訳ではあるまいて!」

今度は、哲也が消えた。

床を弾く足音だけが、廊下に木霊した。

しかし、高速を超えた九鬼の動きに、ぴったりと哲也が張り付く。

「我のスピードは、貴様を超えて……何!?」

九鬼の肩を掴もうとした哲也は、手に感触がないことに驚いた。

「残像だと!」

「お父様!」

二人の動きをとらえていたリオが叫んだ。

驚く哲也の脇腹に、九鬼の拳が突き刺さっていたからだ。

「ぐあ!」

身をよじる哲也。

次の瞬間、今までリオ以外には見えなかった九鬼達の動きが止まった。

「は!」

気合いとともに身をよじり、九鬼は哲也の首もとに蹴りを叩き込んだ。

「馬鹿な」

ふっ飛んで、床を滑る哲也。

「月影キック!」

トドメをさそうと、九鬼がジャンプした瞬間、背中に鋭い爪が突き刺さった。

「あたし達を忘れていない?」

神流は後ろから、爪を伸ばしたのだ。

「!」

空中でバランスを崩し、床に着地した瞬間…体の自由を奪われた。

カルマの超能力が、金縛りのように九鬼の動きと止めた。

「はははははは!」

起き上がった哲也が、笑った。

「腕を上げても、結果は同じだったな!」

「あなたの負けよ」

リオのダイヤモンドの拳が、輝く。

「さあ!死になさい!そしたら、あなたもあたし達の仲間になれるわ」

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