天空のエトランゼ〜赤の王編〜
九鬼達の様子を見ていたさやかと高坂は、目を見張っていた。

「変身が解けた?」

乙女ブラックではなく、学生服姿で立ち向かう九鬼。

「何が起こったの?」

さやかは呼吸を整えながら、再び戦える状態に体を回復させようとしていた。

「虚無の…女神」

九鬼が中西に言った言葉を思いだし、高坂はふらつきながらも歩き出した。

「恐らく…名が体を表しているとしたら…」

高坂は、カレンのもとに向かう。

「すべての魔力を、無にできるということだろう」

高坂は、無意識に突きを受け止めた為に、カレンが落としてしまった…ブラックカードを拾った。

「こんなものを、こんな形で見るとはな」

高坂はブラックカードを見つめた後、カレンに顔を向けた。

「これのパスワードを教えてくれ。君の傷を治そう」

「あんたは…確か」

カレンは、高坂を見た。

高坂は微笑むと、

「その話は後だ。出来れば、俺の仲間達も回復させたいのだが」

「構わないが…そんなにポイントが残っているか…」

「無限に使えるのではないのか?」

眉を寄せた高坂に、カレンは笑うと、

「そのカードとは違う。こいつは、自分が戦って得た魔力しか使えない」

「なるほど」

状況が状況の為、詳しくきくのを止めた香坂に、カレンはパスワードを教えた。

カレンの指示通りに、治癒魔法を発動させた。

「ありがとう」

動くようになった手で、カードを返して貰うと、カレンは香坂から体力を回復させた。

「役に立つとは、思えないけど」

立ち上がり、体の調子を確かめながら、さやかが苦笑した。

「でも…野放しにはできません」

緑は、欠けた空切り丸を一振りした。

「…」

カレンは無言で、九鬼のもとに向った。

「魔力が通用しない相手…」

香坂はフッと笑い、

「上等だ!その方が、人間らしく戦える」

丸腰で歩き出した。
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