天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「これならば!どうだ!」

高坂は引き金を引いた。

数え切れない程の弾丸が、中西に向かって放たれた。

「なめてるのか?」

中西が睨んだだけで、弾丸は消滅した。


「舐めていない」

高坂は、マシンガンを弾が尽きるまで撃ち続けた。

「ただ…試しているだけだ。お前を倒せる方法をな!」

「は!」

高坂の方を向いた為、中西は九鬼達に背を向けることになった。

その隙に、緑は上段の構えを取ると、中西の脳天目掛けて、空切り丸を振り落とした。

「やめて下さい!」

中庭の奥から、声がした。

それは、ちょうど…マシンガンの弾が尽きたのと同時だった為、そこにいたすべての人間の耳に飛び込んできた。

「たった1人に、みんなで襲いかかって!そんな武器まで使って!」

中庭からかけて寄って来たのは、愛川だった。

「脅しとはいえ…マシンガンを向けるなんて!それに!」

愛川は緑の前に立つと、手を取り、

「危ないじゃないですか!怪我したら、どうすんのよ!」

睨み付けた。

どうやら、愛川には…みんなで中西をいじめているように見えたらしい。

マシンガンも、本当に弾が出ているように思えなかったらしい。

確かに、弾はすべて途中で消滅していたから、どこにも当たってはいなかった。

「中西は、乙女ブラックとして、みんなの為に戦ってきたのに、こんな仕打ち!」

きりっと今度は九鬼を睨み、

「みんなが、あなたを乙女ブラックと誤解していましたけど…だからと言ってひどいです!」

「あなたは…」

九鬼は眉を寄せた。

「中西!もう大丈夫だから…安心して」

愛川は中西に振り返り、笑顔を向けようとした。

「言ったはずだが…」

中西の冷たい目が、愛川を射抜いた。

「逃げろ!」

はっとした高坂が、愛川を突き飛ばそうとしたが…届かなかった。

「え…」

愛川には、自分の身に起こったことが信じられなかった。
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