天空のエトランゼ〜赤の王編〜
その女は、リンネではなく…美亜だった。
美亜は、浩也に向って微笑んだ。
「やはり…この体だけでは、完全ではないな」
「…」
浩也は立ち止まり、無言で美亜を見つめた。
「もうすぐ…時が来る」
美亜は、浩也の左手に目をやり、
「その時まで、これは…かりそめだが、二人の絆だ。大切にしろ」
ゆっくりと背を向けた。
「これだけは、覚えておけ…。お前が願えば、あたしはいつもそばにいる。例え…今のお前であろうと」
そして、フッと笑うと歩き出した。
「共に戦うその日まで…」
前を向く美亜の目に、二人で並んで立ち向かう姿が映る。
「赤星…お前とともに…。例え、その日に滅んだとしても」
そして、二人の前に立つ…強大な力。
「悔いはない」
美亜は、ぎゅっと胸を握り締めた。
「今のようにな」
美亜が西校舎裏から消えた後、浩也の目に生気が戻った。
「え?」
突然戻った意識と肉体がシンクロせず、ふらついた浩也は…校舎の壁に手をついた。
「そ、そうだ!」
浩也ははっとして、周りを確認し、
「行かないと!」
特別校舎に向おうとした。
リンネを見てからの記憶が、なかった。
急いで駆け出した浩也が…自分がしたことを知らされるのは、角を曲がってすぐだった。
「クスッ」
その様子を、遥か上空から見下ろしている者がいた。
衛星軌道上から、針の穴よりも小さい大月学園の出来事を見ていた。
「見つけたわ」
漆黒の翼を広げ、その者は笑った。
「お姉様」
心無き心編
完。
美亜は、浩也に向って微笑んだ。
「やはり…この体だけでは、完全ではないな」
「…」
浩也は立ち止まり、無言で美亜を見つめた。
「もうすぐ…時が来る」
美亜は、浩也の左手に目をやり、
「その時まで、これは…かりそめだが、二人の絆だ。大切にしろ」
ゆっくりと背を向けた。
「これだけは、覚えておけ…。お前が願えば、あたしはいつもそばにいる。例え…今のお前であろうと」
そして、フッと笑うと歩き出した。
「共に戦うその日まで…」
前を向く美亜の目に、二人で並んで立ち向かう姿が映る。
「赤星…お前とともに…。例え、その日に滅んだとしても」
そして、二人の前に立つ…強大な力。
「悔いはない」
美亜は、ぎゅっと胸を握り締めた。
「今のようにな」
美亜が西校舎裏から消えた後、浩也の目に生気が戻った。
「え?」
突然戻った意識と肉体がシンクロせず、ふらついた浩也は…校舎の壁に手をついた。
「そ、そうだ!」
浩也ははっとして、周りを確認し、
「行かないと!」
特別校舎に向おうとした。
リンネを見てからの記憶が、なかった。
急いで駆け出した浩也が…自分がしたことを知らされるのは、角を曲がってすぐだった。
「クスッ」
その様子を、遥か上空から見下ろしている者がいた。
衛星軌道上から、針の穴よりも小さい大月学園の出来事を見ていた。
「見つけたわ」
漆黒の翼を広げ、その者は笑った。
「お姉様」
心無き心編
完。