天空のエトランゼ〜赤の王編〜
しかし、九鬼にそんな思いをいつまでも抱いている暇はなかった。
突然鳴った携帯が、九鬼の気持ちを引き締めた。
「はい」
冷静に、電話に出た九鬼の耳に、悲痛な叫びが聞こえてきた。
「助けて、九鬼!闇を見つけたんだけど…だ、駄目なの!」
電話をかけてきたのは、五月雨夏希。乙女ブルーである。
「夏希!どこにいるの!」
「え、え〜っと!きゃあ!」
悲鳴の向こうで、獣のような呻き声が聞こえた。
「夏希!」
九鬼は走り出していた。
「夕立商店街の裏!」
夏希の叫びとともに、携帯が切れた。
「チッ!」
九鬼は舌打ちすると、携帯をポケットに押し込んだ。
逆に手にした物を、前に突きだした。
「装着!」
人目のない路地裏の一本道を走る九鬼の全身を、黒い光が包んだ。
「とおーっ!」
ジャンプすると、九鬼は五階建てのマンションの上に、着地した。
「最短距離を行く!」
乙女ブラックになった九鬼は、月の光の下…屋根の上を疾走する。
「夏希!」
音速に近づいた九鬼の姿を、普通の人間は見ることができない。
顔にかかった眼鏡のレンズに、乙女ブルーの反応が映り、矢印が下を向いた時、九鬼は市民会館の屋根を蹴り、地上へと飛び降りた。
目標を捕捉した。
夏希の周りに、人の五倍はある化け物がニ体いた。
逃げ回る夏希を捕まえようと、手を伸ばしている。
「乙女スプレー!」
夏希の手にあるスプレーから、放たれた霧状の液体が、化け物の顔にかかったが、まったく効いていない。
「乙女ブザー!」
と次に召喚した武器を見て、夏希はブザーを化け物に投げつけた。
「ど、どうして!あたしの武器は!防犯グッズばかりなのよ!きゃあ!」
横飛びで、化け物の拳を何とかかわした。
夏希のいた場所の地面が抉れ、穴があいた。
「し、信じられない」
目玉が飛び出す程、驚いた夏希の真横から、他の化け物が手を伸ばしてきた。
突然鳴った携帯が、九鬼の気持ちを引き締めた。
「はい」
冷静に、電話に出た九鬼の耳に、悲痛な叫びが聞こえてきた。
「助けて、九鬼!闇を見つけたんだけど…だ、駄目なの!」
電話をかけてきたのは、五月雨夏希。乙女ブルーである。
「夏希!どこにいるの!」
「え、え〜っと!きゃあ!」
悲鳴の向こうで、獣のような呻き声が聞こえた。
「夏希!」
九鬼は走り出していた。
「夕立商店街の裏!」
夏希の叫びとともに、携帯が切れた。
「チッ!」
九鬼は舌打ちすると、携帯をポケットに押し込んだ。
逆に手にした物を、前に突きだした。
「装着!」
人目のない路地裏の一本道を走る九鬼の全身を、黒い光が包んだ。
「とおーっ!」
ジャンプすると、九鬼は五階建てのマンションの上に、着地した。
「最短距離を行く!」
乙女ブラックになった九鬼は、月の光の下…屋根の上を疾走する。
「夏希!」
音速に近づいた九鬼の姿を、普通の人間は見ることができない。
顔にかかった眼鏡のレンズに、乙女ブルーの反応が映り、矢印が下を向いた時、九鬼は市民会館の屋根を蹴り、地上へと飛び降りた。
目標を捕捉した。
夏希の周りに、人の五倍はある化け物がニ体いた。
逃げ回る夏希を捕まえようと、手を伸ばしている。
「乙女スプレー!」
夏希の手にあるスプレーから、放たれた霧状の液体が、化け物の顔にかかったが、まったく効いていない。
「乙女ブザー!」
と次に召喚した武器を見て、夏希はブザーを化け物に投げつけた。
「ど、どうして!あたしの武器は!防犯グッズばかりなのよ!きゃあ!」
横飛びで、化け物の拳を何とかかわした。
夏希のいた場所の地面が抉れ、穴があいた。
「し、信じられない」
目玉が飛び出す程、驚いた夏希の真横から、他の化け物が手を伸ばしてきた。