天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「うん?」
最初はわからなかった。
待ち合わせの場所に来た人物のことを。
ブルーワールドに行き、実世界に戻ってくるまでの五年間は、戦いの連続だった。
救う為の日々。
そんな僕が狂わずにいれたのは、共にいるアルテミアのお陰だった。
それは、血腥い日々でもあったけど…安らぎの日々でもあった。
だから、五年前の日常の感情なんて、忘れていた。
彼女が目の前に来て、僕の名前を呼ぶまでは…。
「久しぶりね」
笑顔を向ける彼女が、メールを送ってきた人物と思わなかった。
偶然、会ったと思った。
「あなたは…」
彼女の笑顔が、過去を呼び覚ました。
僕は目を細め、
「矢崎…絵里さん?」
フルネームを口にした。
「そう正解。わたしのこと…覚えてくれていたんだ」
ぱっと満面の笑顔になる絵里。
紛いなりにも、一度好きになった女の子を…忘れることはない。
ただ…思い出さなかっただけだ。
ほとんど、話したこともなかったし。
多分…突然異世界に精神を召喚されて、気を失った僕が、保健室に連れて行かれた時に、一言話しだけだ。
彼女は、保険委員だったのだ。
それくらいしか接点がなかった。
「ほんと…久しぶりだよね。五年ぶりかな?」
記憶の中の届かない花ではなく、気さくに話しかけてくる絵里に、僕は少し戸惑ってしまった。
「そ、そうだね」
「ところでさ」
絵里はまじまじと、上から下まで僕を見て、
「赤星君って、まだ学生なの」
クスッと笑った。
「あっ!こ、これは…」
バンパイアとして目覚めてからの僕は、歳を取るのが物凄く遅くなった。
見た目が変わっていないからと言って…学生服は、おかしいか。
でも、ブルーワールドでは…この格好は、僕だけのオリジナルと認識されていた。
それに、実世界でも何かと便利だった。
学生服は、僕を学生と認識させるだけでなく、個性を埋没させた。
まあ…日本だけだけど、これを着てたら、いろいろやりやすかったのだ。
最初はわからなかった。
待ち合わせの場所に来た人物のことを。
ブルーワールドに行き、実世界に戻ってくるまでの五年間は、戦いの連続だった。
救う為の日々。
そんな僕が狂わずにいれたのは、共にいるアルテミアのお陰だった。
それは、血腥い日々でもあったけど…安らぎの日々でもあった。
だから、五年前の日常の感情なんて、忘れていた。
彼女が目の前に来て、僕の名前を呼ぶまでは…。
「久しぶりね」
笑顔を向ける彼女が、メールを送ってきた人物と思わなかった。
偶然、会ったと思った。
「あなたは…」
彼女の笑顔が、過去を呼び覚ました。
僕は目を細め、
「矢崎…絵里さん?」
フルネームを口にした。
「そう正解。わたしのこと…覚えてくれていたんだ」
ぱっと満面の笑顔になる絵里。
紛いなりにも、一度好きになった女の子を…忘れることはない。
ただ…思い出さなかっただけだ。
ほとんど、話したこともなかったし。
多分…突然異世界に精神を召喚されて、気を失った僕が、保健室に連れて行かれた時に、一言話しだけだ。
彼女は、保険委員だったのだ。
それくらいしか接点がなかった。
「ほんと…久しぶりだよね。五年ぶりかな?」
記憶の中の届かない花ではなく、気さくに話しかけてくる絵里に、僕は少し戸惑ってしまった。
「そ、そうだね」
「ところでさ」
絵里はまじまじと、上から下まで僕を見て、
「赤星君って、まだ学生なの」
クスッと笑った。
「あっ!こ、これは…」
バンパイアとして目覚めてからの僕は、歳を取るのが物凄く遅くなった。
見た目が変わっていないからと言って…学生服は、おかしいか。
でも、ブルーワールドでは…この格好は、僕だけのオリジナルと認識されていた。
それに、実世界でも何かと便利だった。
学生服は、僕を学生と認識させるだけでなく、個性を埋没させた。
まあ…日本だけだけど、これを着てたら、いろいろやりやすかったのだ。