天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「これが…乙女ガーディアンの一つかあ!凄いなあ」
感嘆の声を上げる夏希。
人目を気にして、屋上へと来た月影達は、理香子を囲み、プラチナの乙女ケースを観察していた。
「あたしらの乙女ケースとは、違うよね」
夏希は、自分の乙女ケースと見比べた。
宝石のように輝くプラチナのケースとは違い、ブルーのケースは安物のように見えた。
「た、確かに…」
里奈も自分の乙女ケースを見て、ため息をついた。
「さっすが!理香子!お持ちものも特別ですね!」
理香子にすり寄る桃子。
そんな月影達の輪から、九鬼は離れた。
生徒会の仕事があるからであるが、何となく今の雰囲気に気まずさを感じていた。
階段へと向かう九鬼の前に、最初から輪に入らず、扉の横にもたれ、携帯を見ている蒔絵がいた。
「…」
九鬼は無言で、開いている扉を潜ろうとした。
「これは…何かの前触れか?」
突然、横から声をかけられて、九鬼は半身を屋上から出しながらも振り向いた。
「いきなり…圏外になった」
「…」
蒔絵の言葉に、九鬼は微笑むと、前を向き…階段を降り出した。
蒔絵は携帯を閉じると、
「おい」
蒔絵は壁から離れ、遠ざかっていく九鬼に声をかけた。
返事がなかったので、蒔絵は舌打ちした後、階段を覗いたが…もう九鬼はいなかった。
あっという間に、四階建ての校舎の屋上から、二階まで降りた。
普通ならば、一般生徒の模範になるように、ゆっくりと背筋を伸ばした歩くところだが…今は放課後だ。
クラブの部室がない校舎を歩く生徒は、殆どいない。
「うん?」
二階のフロアに足がついた瞬間、九鬼は後ろを振り返った。
影が長い。
降り立った九鬼の影が、階段の上まで伸びていた。
「もう…こんな時間」
九鬼は、前を向いた。
窓の向こうが、真っ赤に彩られていた。
景色だけでない。
窓の前に立つ九鬼も、赤く染められていた。
感嘆の声を上げる夏希。
人目を気にして、屋上へと来た月影達は、理香子を囲み、プラチナの乙女ケースを観察していた。
「あたしらの乙女ケースとは、違うよね」
夏希は、自分の乙女ケースと見比べた。
宝石のように輝くプラチナのケースとは違い、ブルーのケースは安物のように見えた。
「た、確かに…」
里奈も自分の乙女ケースを見て、ため息をついた。
「さっすが!理香子!お持ちものも特別ですね!」
理香子にすり寄る桃子。
そんな月影達の輪から、九鬼は離れた。
生徒会の仕事があるからであるが、何となく今の雰囲気に気まずさを感じていた。
階段へと向かう九鬼の前に、最初から輪に入らず、扉の横にもたれ、携帯を見ている蒔絵がいた。
「…」
九鬼は無言で、開いている扉を潜ろうとした。
「これは…何かの前触れか?」
突然、横から声をかけられて、九鬼は半身を屋上から出しながらも振り向いた。
「いきなり…圏外になった」
「…」
蒔絵の言葉に、九鬼は微笑むと、前を向き…階段を降り出した。
蒔絵は携帯を閉じると、
「おい」
蒔絵は壁から離れ、遠ざかっていく九鬼に声をかけた。
返事がなかったので、蒔絵は舌打ちした後、階段を覗いたが…もう九鬼はいなかった。
あっという間に、四階建ての校舎の屋上から、二階まで降りた。
普通ならば、一般生徒の模範になるように、ゆっくりと背筋を伸ばした歩くところだが…今は放課後だ。
クラブの部室がない校舎を歩く生徒は、殆どいない。
「うん?」
二階のフロアに足がついた瞬間、九鬼は後ろを振り返った。
影が長い。
降り立った九鬼の影が、階段の上まで伸びていた。
「もう…こんな時間」
九鬼は、前を向いた。
窓の向こうが、真っ赤に彩られていた。
景色だけでない。
窓の前に立つ九鬼も、赤く染められていた。