天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「あ、あなたは!」
九鬼は、その男を覚えていた。
「月の…使者」
「覚えて頂いて、光栄でございます」
今回は、シルクハットを被っていない為、彫りの深いハーフのような顔を露にして、タキシードの男は深々と頭を下げた。
「それにしても…危ないところでした。もう少しで、大量出血でお亡くなりになられるところでした。しかし、もう大丈夫でございます。輸血もできました故に」
タキシードの男は、口元を緩めた。
「ここは…一体?あたしは、結構走ったはずだけど…」
こんなところに来た覚えはない。
「ここは…大月学園の地下で、ございます」
タキシードの男は、九鬼に微笑んだ。
「え」
目を見開く九鬼に、
「私がお連れてしました。しかし!心配はございません。大月学園には、地下室が沢山ございます」
タキシードの男は、説明しだした。
「その中でも、ここは…特別でございます。ここには、この世界の月の女神も、入ることはできません!なぜなら、ここは!」
九鬼の目を見つめ、
「乙女シルバーの部屋だったからです」
と言ってから、頭を下げた。
「ですから…ここが、一番安全でございます。それに、まさか…近くの大月学園に、逃げ込んだとは思わないでしょう」
「乙女シルバーの部屋…」
何もない…殺風景な穴蔵を見回す九鬼。
お世辞にも、部屋とは言えない。
「本当ならば…私も入れないのですが…。正統なる後継者である!あなた様がいた為に、入ることができました」
「後継者?」
と言ってから、九鬼は鼻で笑った。
「残念ながら…あの力は、とられたよ。それに、あたしは…完全に力を得ることができなかった…」
「それは…」
虚無の女神ムジカとの契約のせいと…心の中で思ったが、口にすることはない。
タキシードの男は、別のことを口にした。
「…関係ございません。魂の問題でございます」
「魂?」
九鬼は思わず、タキシードの男の顔を見上げた。
九鬼は、その男を覚えていた。
「月の…使者」
「覚えて頂いて、光栄でございます」
今回は、シルクハットを被っていない為、彫りの深いハーフのような顔を露にして、タキシードの男は深々と頭を下げた。
「それにしても…危ないところでした。もう少しで、大量出血でお亡くなりになられるところでした。しかし、もう大丈夫でございます。輸血もできました故に」
タキシードの男は、口元を緩めた。
「ここは…一体?あたしは、結構走ったはずだけど…」
こんなところに来た覚えはない。
「ここは…大月学園の地下で、ございます」
タキシードの男は、九鬼に微笑んだ。
「え」
目を見開く九鬼に、
「私がお連れてしました。しかし!心配はございません。大月学園には、地下室が沢山ございます」
タキシードの男は、説明しだした。
「その中でも、ここは…特別でございます。ここには、この世界の月の女神も、入ることはできません!なぜなら、ここは!」
九鬼の目を見つめ、
「乙女シルバーの部屋だったからです」
と言ってから、頭を下げた。
「ですから…ここが、一番安全でございます。それに、まさか…近くの大月学園に、逃げ込んだとは思わないでしょう」
「乙女シルバーの部屋…」
何もない…殺風景な穴蔵を見回す九鬼。
お世辞にも、部屋とは言えない。
「本当ならば…私も入れないのですが…。正統なる後継者である!あなた様がいた為に、入ることができました」
「後継者?」
と言ってから、九鬼は鼻で笑った。
「残念ながら…あの力は、とられたよ。それに、あたしは…完全に力を得ることができなかった…」
「それは…」
虚無の女神ムジカとの契約のせいと…心の中で思ったが、口にすることはない。
タキシードの男は、別のことを口にした。
「…関係ございません。魂の問題でございます」
「魂?」
九鬼は思わず、タキシードの男の顔を見上げた。