天空のエトランゼ〜赤の王編〜
数秒後、アスカの前に転がる死体の山。

「ど、どうして…こんなことを…」

玉座に座り、わなわなと震え出すアスカに、男は笑みを向けた。

「それが…恐怖。そして、疑問だ」

男はジャンプすると、アスカの前に着地し、顔を近付けた。

「お前に…いろいろ教えてやろう。神を名乗る愚かなお前に…」

にやりと男が笑った…次の瞬間、アスカは空中にいた。男に抱かれながら。

足下で、王宮が音を立てて…崩れ出した。

「外…」

アスカの呟きを聞いて、男は面白いと思った。

自分がいた…場所が崩れるシーンよりも、外に出れたことを驚いているアスカを、面白いと思った。

「人神」

男は訊いた。

「お前の名は?」

耳元でした男の声に、アスカははっとして、

「ア、アスカ…シャーウッドです」

「アスカよ」

男は左手でアスカを抱きながら、右手を前に突きだした。

「貴様に教えてやろう!今度は、滅びだ」

右手が電気を帯びて、スパークした。

「人に…安全な場所などない!」

右手がさらに輝いた次の瞬間、元老院の建物はすべて消滅した。

そこに、住むエリートと呼ばれる人々といっしょに。

「人がこの世界で生きたくば、もがけ!それだけが、貴様らに与えられた…生きていれる資格だ」

結界も消え、瓦礫すらも残らなかった。

ただ一面の砂に、返った。
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