天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「50年分の怨み…はらしてやるよ」

カレンは下に横たわる女の死体を見つめながら、プロトタイプブラックカードを取り出した。

そして、人形達の群れに向かってジャンプした。


「燃え尽きろ!地獄の業火でな!」

カレンの周りに、炎の竜巻が発生する。

「すべて、灰になれ!」

炎の竜巻は、カレンを中心にして、村中に吹き荒れる。

「ポイントを使いきってもかまわない!」

人形だけでなく、村中の小屋を焼き、女の死体も灰になった。

「うおおお!」

咆哮を上げたカレンが、炎の竜巻から飛び出した。

枝を殆ど切り裂いたピュアハートが、カレンのもとに戻ってくる。

切られ落ちた枝も、炎の竜巻の中で燃え尽きる。

カレンはピュアハートを掴むと、突きの体勢で大木に突っ込む。

「貴様も燃え尽きろ!」

ピュアハートの刀身にも、炎の竜巻が絡みつく。


大木の根元に突き刺さったピュアハートによって、中から燃え上がる。

「ぎゃあああ!」

大木に口はなかったが、カレンの耳には、断末魔が聞こえた。

村中を焼きつくした炎の竜巻も、大木に絡みつくと、数秒で…すべてが灰になった。



「フン」

村と大木があった空間には、ピュアハートを突き出した姿のカレンしかいなくなった。

炭で真っ黒になりながらも、カレンは無傷で戦いを終えた。

ピュアハートをおろすと、息を吐いた。


この村の本当の人間は、50年前に大木に養分として、すべてを吸いとられたのであろう。

先程の女だけが、囮として半分生かされていたのだ。

「人喰い村か…」

カレンは、ピュアハートを首からかけたペンダントの中に戻した。

その瞬間、カレンはその場で崩れ落ちた。

「な、なんだ!?」

信じられない魔力を感じ、その重圧で押し付けられたのだ。

何とか顔を上げたカレンの遥か頭上に、雲と見間違う程の巨大な生物が浮かんでいた。

「ドラゴン…」

目を見開いたカレンの頭上で、ドラゴンは巨大な口を開いた。


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