天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「それにしましても…」

不動はちらっと凍りついたリンネを見て、肩をすくめた。

「まだ目覚めていないとはいえ…騎士団長クラスを凍らせるとは…なかなかどうして」

「フン!」

ティアナは、ライトニングソードを不動に向けて、突きだした。

「ティアナ先輩!」

ジャスティンの声にも、ティアナは不動から視線を外さずに、隣に立つクラークに向かって、声をかけた。

「少年!ジャスティンを連れて、少し離れていて!」

「あっ!はい」

戦いの緊張感にのまれていたクラークは、慌てて頷くと、ジャスティンに肩を貸した。

「お、重い…」

下半身が石化している為、結構重くなっていた。

「ご、ごめん…」

クラークに謝った後、ジャスティンは引きずられながら、ティアナに向かって叫んだ。

「先輩!頑張って!」

「それは、無理でしょう」

ティアナではなく、不動が笑いながら返事した。

「まあ〜。頑張るくらいはできますかね」

嫌味を言った。

「は!」

その隙に、ティアナは間合いを詰め、下から袈裟斬りの形でライトニングソードを振り上げた。

「無駄ですよ」

不動の体は簡単に斬れ、凍りついた。

しかし、すぐに氷は融けた。

体も元に戻っていた。

「炎は斬れない!凍りません」

不動は、ティアナが斬った部分を指で拭った。

「所謂、不死身ですよ」

「フン!」

ティアナは一旦間合いをとると、ライトニングソードを一振りした。

冷気から、通常の電気を刀身に帯びると、ティアナはライトニングソードを突きの体勢に持っていく。

「唸れ!」

そのまま砂を蹴り、一気に突進した。

「無駄ですよ」

ライトニングソードは不動の体を貫き、さらに電流が不動産の全身を血管のように這いずり回った。

次の瞬間、炎でできた不動の体が四散した。

「無駄ですって」

しかし、散り散り弾けた炎が、無数の不動の姿をつくり、ティアナの周りを囲んだ。

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