天空のエトランゼ〜赤の王編〜
じっと核ミサイルを凝視した。

「それは…」

伊達眼鏡の男は眼鏡を外すと、ため息をつき、

「魔王が、魔法を使えなくしていってるからだろ?」

「人間に自然を汚せと言うか?」

「おい!ラン!別に、核という力を持つことは、いいだろ?魔王に対抗するにはさ。そうでなくても、我々は女神という天災に、いつ襲われるかわからない恐怖に、怯えているんだから」

「女神は天災だ。だが、自然のルール上にある」

「え!」

伊達眼鏡をかけていた男は、素っ頓狂な声を上げ、

「突然、津波を起こしたり、地震を誘発するような存在が、自然だというのかよ!」

「ああ…」

マグカップを一番近くのテーブルの隙間に置くと、

「少なくとも…威力は違うが…自然が起こす災害と変わらない。しかし!今から人間が使おうとしている力は!自然界にはない!核融合が起きているのは!」

床を指差し、

「この星のコアだけだ」



「やれやれ…」

外した伊達眼鏡をもう一度かけると、

「お前の言い方だったら…人間は害虫だな」

深々と椅子に座り直した。

「その通りだ。だけど…自分もその害虫の一匹だと認識はしているよ」

「自虐的なのか…何なのか…。天才の言うことはわからないよ」

「フッ」

伊達眼鏡の男の言葉に笑うと、

「本当の天才は、数年前に…自然の中に消えたよ」

身に纏っている白衣から、黒いカードを取り出した。

「ティアナ・アートウッド…。彼女こそが、天才だよ」

「ラン…」

「俺のように…こんな箱の中でしか、偉そうにできない人間とは違う」

今度こそ…自虐的に笑った男の名は、ラン・マックフィールド。のちに安定者になり、さらに実世界の戦国時代で死ぬことになる人物である。

ランは、ブラックカードを見つめた。

「カードシステムか…」

伊達眼鏡の男は、ランが持つカードを見つめた。

「ああ…」

ランはカードを握り締めると、

「もう止まることがないならば…向かう先を変えるだけだ。せめて、自然を傷付けないようにな」

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