天空のエトランゼ〜赤の王編〜
クラークは、ティアナの目を見つめ、

「しかし…核兵器まで辿り着く理論も技術も、ありませんでした。最近までは」

「最近?」

ティアナは眉を寄せた。

「はい」

クラークは頷き、

「異世界から、その技術を持った女が現れたのです」

「異世界!女!?」

2人の会話を聞いていたジャスティンが、 声を荒げた。

しかし、ティアナは手でジャスティンを制すると、クラークの言葉を待った。

クラークは息を吐くと、

「その女については知りません。しかし、その女が核を伝えたことは、間違いありません」

そこまで言い、口を閉じた。

「おい!クラーク!」

ジャスティンはクラークに近づくと、肩を掴んだ。

「どうして…お前がそんなことを知っているだ」

問いただそうとするジャスティンの肩を、ティアナが掴んだ。

そして、クラークに顔を向け、

「ありがとう。教えてくれて」

礼を言った。 それ以上は、詮索しない意味を込めて。

「クッ!」

ジャスティンは、自分の肩を掴むティアナの強さに、その意味を悟り、クラークの肩から手を離した。

「今は、そんな場合じゃないわ」

ティアナは、拡散して消えていくきのこ雲に目をやり、

「人々を助けないと」

「無理です」

クラークは顔を下に向け、

「震源地には、放射能という毒素で溢れています。運良く爆発で死ななくても、放射能にやられています。もう助かりません」

「でも、生きてるならば!助けにいかないと!」

それでも向かおうとするティアナに向かって、クラークは叫んだ。

「放射能は、広範囲に広がっているはずです!あなた1人の力では、除去もできない!行ったところで、被爆するだけです」

「…」

ティアナも、放射能の恐ろしさを知っていた。

ブラックカードを取り出しても、魔力が足りない。

「く!」

絶望が、ティアナを支配した。

悔しそうに震えるティアナを見て、ジャスティンはどうしょうもできない自分を呪っていた。


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