天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「フッ。生きていたらな!」

クラークは、周りを見回した。

まだ十分の一も倒していない。

数が多すぎるのだ。

それでも怯むことなく、2人は戦いを続けた。


「騎士団の皆〜さん!」

戦い続ける2人の耳に、ランの声が聞こえてきた。

「戦いをやめてください」

その声は2人にではなく、周りにいる魔物に向けられていた。

「さもなくば…」

ランはうっすらと笑った。

「こいつを殺しますよ」

鞭で、ぐるぐる巻きにしたポセイドンを指差した。

「き、貴様!卑怯だぞ!」

魔物の一匹が叫んだが、ランはせせら笑った。

「お前達に言われたくない」

ランは、不快に感じたことを表情で伝えた。


「ジャスティン!クラーク!飛べ!」

その時突然、ジャスティン達の頭上から声がした。

「え?」

驚くクラークに、ジャスティンが叫んだ。

「ジヤンプしろ!」

慌てて2人が飛んだのと、その横を天から落下してきたティアナが、真下に向けた刃の先を、地面に突き刺したのは…ほぼ同時だった。

ライトニングソードから放たれた電流が、周りにいた魔物のすべてを感電させた。

「ぎゃあああ!」

断末魔の悲鳴を上げながら、次々に倒れる魔物達。


「おのれえ!人間が!」

意識を取り戻したポセイドンが、自分を拘束している鞭を筋肉の膨張で、引きちぎった。

「!!」

絶句するラン。

自由になったポセイドンが、動こうとした時、剣が首筋に差し込まれた。

「!?」

いつのまにか、ティアナがポセイドンの前に立っていたのだ。

すべてのダメージを回復しているティアナを見て、ポセイドンは目を見開き…やがて、フッと笑うと、目をつぶった。

数秒後、目を開けると、ティアナに訊いた。

「お主の名は?」

「ティアナ・アートウッド」

ティアナは、即答した。

「覚えておこう…」

ポセイドンは、首筋に差し込まれたライトニングソードを握り締めると、そのまま押し返した。

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