天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「待て!」

飛び出したティアナとジャスティンを、ランが呼び止めた。

足を止めるティアナ。慌てて止まるジャスティン。

「正当法でいっても、奥にいけないだろ」

「何か…いい方法が?」

研究室のまで戻ったティアナは、魔物が空けた床の穴を見下ろしているランに気付いた。

「混乱している今ならいける。侵入者を探るレーダーも働いていないはずだ」

ランは顔を上げると、ティアナににやっと笑いかけた。

「!?」

ティアナは少し目を見開いた後、コクリと頷いた。



数秒後、研究室の前から消えたティアナとジャスティン。

ランは、扉の横で壁にもたれ、1人残っているクラークに、部屋の中から声をかけた。

「君は行かないのかい?」

ランの質問に、クラークは少し考えた後、

「いきますよ」

と一言だけ返した。

「そうか…」

ランは、頷いた。

「…」

クラークは腕を組んだまま、壁から離れると、通路を歩き出した。

兵士達の行き来もない…静かな空間に戻った通路に、クラークの足音がしばらくこだまし…やがて、聞こえなくなった。
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