天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「時間が来た…。審判の時が来たのだ!」

ゲイルの声に、前に並ぶ兵士達が呼応する。

「おおおっ!」

満足げに頷いたゲイルは、格納庫に隣接する管制室に叫んだ。

「発射準備を!」
「させない!」

突然、空から声がした。

ポセイドンの攻撃により開いた天井より、ティアナとジャスティンが落下してきたのだ。

「な!」

絶句するグレン。

核ミサイルの間を、ティアナとジャスティンは落ちていく。

「発動!」

2人はブラックカードを使い、風を纏うと、パラシュートをつけているように、グレン達の後ろに着地した。

「い、今のは…ま、魔法か?」

ティアナ達の着地を見て、グレンのそばにいた司令官が目を丸くした。

「そうです」

百七発の核ミサイルが並ぶ…広い格納庫に、ティアナの足音がこだました。

「ど、どうやって!?」

「これです」

近づきながら、ティアナはブラックカードを見せた。

「このカードがあれば、人間は魔力を使えるのです」

「ば、馬鹿な…」

「ですから…こんな力を使わなくても、人間は戦えます」

「夜迷い事だ!」

ティアナの出現とカードの存在に、唖然としている兵士達の目を覚ます為に、グレンが叫んだ。

「あんなもので、魔力が使えるはずがない!人類はこれから、核の力で!世界を統治するのだ!」

「お祖父様…」

「発射しろ!ミサイルを!」

ゲイルは絶叫した。


「無駄です」

ティアナは、ゲイルのそばまで来ると、悲しげに彼の瞳を見つめた。

「ミサイルは…発射しません」

「な、何だと!?」

ゲイルの驚きの声が、格納庫にこだました。

「か、管制室!」

ゲイルは管制室の方に、顔を向けた。

格納庫を覗ける強化ガラスを張った窓から、首を横に振る科学者の青ざめた顔が見えた。

科学者は確実に…ボタンを押していた。

しかし、発射されなかったのだ。

「よかったな…」

その時、管制室に入ってきたクラークが、発射ボタンの前にいる2人の科学者に笑いかけた。

「あんたらは…後悔しなくてすんだ」

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