天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「ど、どういうことだ!」

グレンは、ティアナを睨んだ。

ティアナは悲しく微笑みながら、再びカードを示した。

「これにある…全魔力を使って、格納庫にあるミサイルを凍らせました」

「先輩!」

ジャスティンが、ティアナに駆け寄ってきた。その手には、魔力を使い果たした三枚のカードがあった。

「ギリギリでしたが…何とか動力部分をすべて凍らせました」

ジャスティンとラン、そしてクラークのカード。さらに、落下時に…ティアナもミサイルを凍らしていたのだ。

今、ティアナの手にあるカードは、魔力が空っぽだった。

「ば、馬鹿な!?魔力は、使えないはず!」

グレンの言葉に、ティアナは首を横に振った。

「お祖父様…。あたしは、こんな日の為に、備えていたのです。人々の為に」

「な、何が!人々の為か!」

ゲイルは、ティアナを睨んだ。

「核を撃ち、滅ぶことこそが人類の為なのだ!」

「ゲイル君?」

そばにいた司令官が、後ろからゲイルの肩を叩いた。

「そ、それはどういう意味……うっ!」

言葉の途中で、司令官は口から血を吐いた。

さらに、司令官の後ろに近づいた兵士が背中から、針のように鋭くなった腕を突き刺していた。

「茶番は終わりだ」

グレンは血を流しながら、倒れていく司令官には目もくれずに、ティアナを睨み付け、

「ここまで来たら…氷を融かせばいい!最悪、ここで爆破してやる!」

「お祖父様!」

ティアナの叫びも虚しく、格納庫にいた兵士の半数が正体を表した。

魔物が化けていたのだ。

一連の出来事に動揺していた兵士達は一瞬で、首などをはねられて、絶命した。

「チッ!」

ティアナは舌打ちすると、魔物の群れを駆逐する為に走ろうとした。

しかし、その前を、ゲイルがふさいだ。

「行きたければ、私を殺せ!」

「お祖父様!」

「先輩!」

ジャスティンが駆け寄ろうとするが、ティアナが遮った。

「魔物を、ミサイルに近づけないで!」

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