天空のエトランゼ〜赤の王編〜
元老院と王宮の消滅…さらに、核の誤爆に、十字軍本部の壊滅は、世界中の人々に衝撃を与えた。

しかし、その悲劇と同時に語られたティアナ・アートウッドと祖父であるゲイル・アートウッドの物語は、世界中に涙を流させた。

一部で話題だったティアナ・アートウッドの名は、全世界に広がった。

しかし、そんな話題に一喜一憂している場合ではなくなって来ていた。

もうすぐ…魔力が使えなくなったことに、野にいる魔物達が気付き始める。そして、一斉に、人間に対する殺戮が、全世界で始まるのだ。

その前夜祭ともいうべき時期に、十字軍本部と爆心地付近の人々の不安を和らげる為に、慰安団ともいうべき楽団が各地に姿を見せていた。

その中には、ティアナ・アートウッドの妹であるジュリアン・アートウッドも参加していた。大陸一の歌声を持つと言われたジュリアンは、人々と癒す為だけではなく、祖父の墓参りも兼ねていた。

美しき歌姫と、勇者である姉の対談を人々は期待していた。

しかし、ティアナにはその期待にこたえる暇なんてなかったのだ。

忍び寄る恐怖を、誰よりも実感していたからだ

カードシステムはアメリカの協力もあり、急ピッチで開発が進められていたが、数ヶ月で準備できるものでもなかった。

ティアナはできるだけ多くのデータを取る為に、各地の魔物退治に奮闘した。

最初は、1人だったが…士官学校のすべてのカリキュラムを、1ヶ月もかからずに終わらせたジャスティンとクラークが途中で合流し、3人で世界を旅することになった。

その旅の途中で、世界は暗黒の時期に突入した。

カードを持ち、戦う3人は…いつしか、ホワイトナイツと呼ばれるようになった。

カードシステムのデータ収集を続ける日々の中…クラークのもとに、新たなる密書が届いた。

しかし、それは秘密裏ではなく…ティアナに向けてのものでもあった。

内容は、こうだ。


新たなる女神が、もうすぐ誕生する。

それを阻止すべく、女神がつくられている魔神のアジトを襲撃、壊滅しろと。

その女神が、目覚めたならば…魔王の戦力は数段アップする。

目覚める前に、殺せと命じるものだった。
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