天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「4人だと!?」

「は!」

烏天狗は深々と頭を下げ、

「その中の1人は、白い鎧を着た女!恐らく…ポセイドン様を退けた…ブロンドの白い悪魔だと」

そう報告しながら、小刻みに震えていた。

「ブロンドの白い悪魔だと!?」

ギラは、そのネーミングが嫌いだった。

騎士団長ポセイドンを撃破し、非公開だが、不動までもがやられたといわれる…人間の女。

この星のあらゆる生物から畏れられるはずの魔物達は、人間の女の話をするだけで、怯えている。

それだけではなく、その女を悪魔と呼ぶ。

「騎士団の誇りを持たぬか!」

ギラの怒声が、烏天狗を震わせた。電気を帯びた怒りの声は、その場で烏天狗を感電させた。

それだけではない。ギラの周りの空気もスパークして、小さな雷を通路に発生させた。

周囲にいた蜂に似た魔物達は、雷にうたれて黒焦げになった。

「いいだろう!その白い悪魔という人間を!俺が、殺してやろう!」

ギラの額から飛び出た角が、青白く光る。

「恐怖と畏れは、我等にだけあればいいのだ!人間などを畏れるな!」

ギラは、周囲の魔物に向って叫んだ。

しかし、こたえるものはいない。

「我等がもし!畏れるならば!その存在は、一人だけだ!」

ギラは、痺れて口も動かせない烏天狗を見下ろし、

「我等が王にして、絶対なる神!ライ様だけよ!!」

絶叫すると、顔を上げた。

鋭い眼光が、通路の壁を睨むと、爆発した。

蜂の巣に似た楕円形の砦の外壁が、中から吹き飛んだ。できた穴から、巨大な蝙蝠の羽を広げたギラが飛び出して来た。

「魔物達もよく聞け!今から、二度と!白い悪魔のことは口にするな!いや、する必要はない!」

ギラは、砦の中だけではなく、ジャングルの中にも叫んでいた。

「なぜならば!やつは、今日!死ぬからだ!」

蝙蝠の羽が羽ばたくと、一瞬で数キロ移動した。

「畏れは!すべて!我等のものよ!」

ギラは、ティアナ達に向って飛んで行く。

数秒後、彼らは激突することになる。
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