天空のエトランゼ〜赤の王編〜
互いの次の動きを理解したティアナは、ライトニングソードをチェンジ・ザ・ハートを戻した。

剣が分離した為、手刀を押し付けていたギラのバランスが崩れた。

そのまま、ティアナは後方にジャンプして、再び分離したチェンジ・ザ・ハートをライトニングソードに戻し、バランスを崩したギラを横凪ぎに切り裂く…はずだった。

「!?」

予想以上にめり込んでいた足が、ティアナの動きをコンマ一秒ずらした。

後ろに一歩下がり、ライトニングソードを振るおうとするティアナの動きを察知したギラは、背中の羽を広げ、無理矢理起き上がった。

突風が巻き起こり、風圧でティアナは後方に下がった。

「!」

羽をたたみ着地したギラは、絶句した。

いつのまにか、胸が斬られていたのだ。

タイミングこそずれたが、バランスを崩しても、ティアナは剣を振るっていたのだ。

「フッ…フハハハハハ!」

あくまでも冷静に笑おうとしたギラは、途中でやめた。

興奮しだし、

「面白い!面白いぞ!人間の女!」

全身から電気を放電させた。

ティアナは一度、呼吸を整えると、ライトニングソードを握り締めた。

「は!」

気合いとともに、前に走り出した。

互いの雷鳴がぶつかり合い、ジャングルを震わした。



「馬鹿が…」

ジャングルの一角で、光る雷鳴を見つめながら、蜂の巣に似た砦の中から、サラが顔をしかめた。



「す、凄い…」

円状に焼けた土地の上で、繰り広げられる2人の戦いは、一刻以上も続いた。

互いに一歩も退かない戦いを前にして、グレイは一歩も動けなかった。

圧倒されながらも、感動していた。

ティアナ・アートウッドという人間の凄さに…。

身を震わし、

「この女ならば…俺の願いを叶えてくれるかもしれない」

少し涙ぐんでしまった。

「あ、あり得ん!人間ごときが!騎士団長と同等の力を持つなど!」

戦いを楽しんでいたギラは、膠着状態になった瞬間、冷静になった。

「同等ではない!」

ティアナは叫んだ。

「モード・チェンジ!」


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