天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「馬鹿な…」

立ち上がろとしたギナムの両手が、スライドして…床に落ちた。

「だから言っただろ?」

クラークはゆっくりと、振り向いた。

「相性がいいと」

「な!」

完全にギナムの方に体が向いた時には、全身から血を噴き出していた。

「終わりだ」

クラークは、床に落ちているギナムの影の先…頭にあたる部分に、長剣を突き刺した。

断末魔の悲鳴を上げることなく、ギナムは絶命した。

「立体的には、無軌道に見えても…影で見れば…点でしかない」

クラークは長剣を鞘に戻すと、階段に向かって歩きだした。

「飛ぶときは…光のない場所ですることだ」

額の髪をかきあげたクラーク。すると、普段は見えない傷が露になった。






「貴様らの目的は何だ!」

近付き過ぎると、熱気で火傷をする為に、ティアナは間合いを計りながら、戦っていた。

最初は、チェンジ・ザ・ハートを槍タイプにしていたが、不動の弱点をつくには、槍では無理と判断し、ライトニングソードに変えた。

しかし、倍の大きさになった不動の腕の長さは、ライトニングソードが届く距離を越えていた。

間合いに入ろうにも、灼熱のマグマでできた不動の体は、熱気自体がバリアのようになっていた。

「ご存知でしょ?女神を創ることですよ!」

不動のパンチを避け、後方にジャンプして逃げたティアナ。

しかし、不動の手からマグマでできた剣ができると、逃げるティアナを襲った。

「!?」

ティアナの胸元を守る白い鎧が切れて…溶けた。

素肌には、達成しなかったが、鎧が溶ける臭いが、鼻孔を刺激した。

「よく避けましたね。感心しますよ」

不動は剣を消すと、拍手した。そして、ティアナに微笑み、

「ここまで、頑張る貴方にご褒美として…教えてあげましょう」

不動は完全に、ティアナを舐めていた。

「今回の女神は、人間をベースに彼らの憎しみを混ぜて創っています。勿論、女神になれば…人間の記憶はありません。しかし、人間とは不思議なもので、記憶がなくても覚えているんですよ」
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