天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「は、は、は…」
傷口を押さえながら、グレイは歩いていた。
剣司が放った突きは、自分の剣が先に当たった為…貫通はしなかったが、 深い傷をグレイに与えていた。
とめどもなく流れる血により、グレイは軽い貧血に陥っていた。
しかし、皮肉なことに…流れる血が、グレイを不動の呪縛から逃れさせた。
「リタ…」
ふらつく足で、ただ…妹のもとに向かった。
呪縛が解けたことで、ぼおっとしているが、グレイはカードを思い出し、出血をした。
血が止まったことで、グレイは改めて頭の中で燻る火種の存在に気付いた。
カードをかざし、消し去ろうとしたが…無理だった。
魔力が足りないのか…理由はわからない。
「し、仕方がない」
グレイは諦めると、剣司のものだった日本刀を握り締め、ただ歩き続けた。
剣司とやり合った時に言ったように、自らが生まれ育った特区に実験の為、核を落とした十字軍は許せなかった。
しかし、だからと言って…やり返しはいけないと、今のグレイは思っていた。
肝心の十字軍はほぼ崩壊し、ミサイルを発射した人間も裁かれていた。
もう…復讐する人間は、いないのだ。
(それなのに…リタが、復讐の為に、女神になったならば…)
その憎悪は、無関係の民間人にいく。
「それは…いけない」
グレイは、左手を通路の壁に触れながら歩き続けた。改めて右手に目をやると、日本刀を確認した。
「すまないな…剣司」
この日本刀は、結構な業物で、剣司の自慢の一振りだと知っていた。
それを、折ることになるにかもしれない。
「償いは…俺の命で、許してくれ」
止血をしても、頭に植え付けられた火種がもうすぐ…頭の中を焼き尽くすと、グレイは確信していた。
「だから…その前に、俺が殺す」
グレイは、ついに…リタがいる実験室の前に来た。
「我々は…人神の一族。その一族の末裔が、悪魔になってはいけないのだ」
グレイは深呼吸すると、実験室に入った。
傷口を押さえながら、グレイは歩いていた。
剣司が放った突きは、自分の剣が先に当たった為…貫通はしなかったが、 深い傷をグレイに与えていた。
とめどもなく流れる血により、グレイは軽い貧血に陥っていた。
しかし、皮肉なことに…流れる血が、グレイを不動の呪縛から逃れさせた。
「リタ…」
ふらつく足で、ただ…妹のもとに向かった。
呪縛が解けたことで、ぼおっとしているが、グレイはカードを思い出し、出血をした。
血が止まったことで、グレイは改めて頭の中で燻る火種の存在に気付いた。
カードをかざし、消し去ろうとしたが…無理だった。
魔力が足りないのか…理由はわからない。
「し、仕方がない」
グレイは諦めると、剣司のものだった日本刀を握り締め、ただ歩き続けた。
剣司とやり合った時に言ったように、自らが生まれ育った特区に実験の為、核を落とした十字軍は許せなかった。
しかし、だからと言って…やり返しはいけないと、今のグレイは思っていた。
肝心の十字軍はほぼ崩壊し、ミサイルを発射した人間も裁かれていた。
もう…復讐する人間は、いないのだ。
(それなのに…リタが、復讐の為に、女神になったならば…)
その憎悪は、無関係の民間人にいく。
「それは…いけない」
グレイは、左手を通路の壁に触れながら歩き続けた。改めて右手に目をやると、日本刀を確認した。
「すまないな…剣司」
この日本刀は、結構な業物で、剣司の自慢の一振りだと知っていた。
それを、折ることになるにかもしれない。
「償いは…俺の命で、許してくれ」
止血をしても、頭に植え付けられた火種がもうすぐ…頭の中を焼き尽くすと、グレイは確信していた。
「だから…その前に、俺が殺す」
グレイは、ついに…リタがいる実験室の前に来た。
「我々は…人神の一族。その一族の末裔が、悪魔になってはいけないのだ」
グレイは深呼吸すると、実験室に入った。