天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「貴様!」

苛立つ美亜は、最後の手段に出ようとした。

「モード・チェ」
「待ちなさい。本当にやる気なの?」

リンネは、美亜の言葉を遮ると、

「あなたとあたしが、本気でやり合えば…この学校周辺は消滅…いえ、それだけではすまないわ。この日本っていう島国自体が、壊滅する」

リンネはじっと美亜を見つめ、

「それでもいいの?」

口元に笑みをたたえながら、聞いた。

「クッ!」

美亜は、言葉を止めた。

数秒間、2人は見つめ合う。

「残念だわ…。あたしは、戦う方がよかったのに…」

リンネは肩をすくめると、美亜に背を向けた。

「でも、まあ〜いいわ。人間の教師ってのも、面白いし」

歩き出すリンネに向かって、美亜は叫んだ。

「ソラという女神は!何だ!」

「さあ〜ねえ」

リンネは、にやりと笑い、

「本人に直接訊いてみたら」

「!」

「だって…あなたと同じように、生徒として潜り込んでいるわよ」

「な、何だと!?」

声を荒げた美亜に、リンネは大袈裟にため息をつき、

「本当に…面白い学校だこと」

そのまま階段を使い、消えていった。

「生徒としてだと!?」

美亜は顔をしかめた。






「本当に…面白い」

リンネが笑いながら、階段を下りると、五階の床に跪くユウリとアイリがいた。

「リンネ様…」

「我々は如何様に…」

「そうね…」

リンネは、階段の途中で足を止め、軽く考える振りをした後、 五階のフロアまで下りた。

「別に…ないわ」

そして、ユウリとアイリの間をすり抜けた。

「リンネ様…」

ユウリとアイリは、体の向きを変えた。

「アルテミアとソラに関しては、あなた達ではどうしょうもないわ。だから…赤星浩也を監視して頂戴。彼は…目覚め初めている」

リンネは足を止めた。

「…と言っても、所詮…中途半端。彼自身は、大したことない。だけど…魂が共鳴すれば…」

そして、虚空を見つめ、

「王が復活する。その時こそが、真の始まりよ」

口元を緩めながら、再び歩き出した。
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