天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「ここは…?」
激しい雨が、地上に降り注ぎ…分厚い雲が、月の明かりを遮っていた。
それなのに、人工的につくられた街灯の灯りが、雨に反射して、昼間よりも明るくしていた。
だけど、人の気配はない。
「どうした?闇の存在である自分が、光の中にいて、戸惑っているのか?」
耳許に、自分の声が聞こえた刹那、鳩尾に激痛が走り…九鬼は、川のように水が流れるアスファルトの上に倒れた。
「お前は、ここにいろ」
全身に力が入らないが、目だけが動かせた。
自分のそばを通り過ぎ、歩いていく者。
「な!」
九鬼は絶句した。
後ろ姿でもわかった。
「乙女ブラック!?」
雨でできた光のカーテンの向こうから、学生服の男が姿を見せた。
「な、中島!」
いつのまにか…雨は激しさを増し、舞台から倒れた九鬼の声をかき消し、姿を隠した。
九鬼の叫びは、中島には聞こえなかった。
乙女ブラックを見て、目を見開く中島…。
「九鬼さん…」
「…」
乙女ブラックは無言で、拳を握り締め、中島に向かって構えた。
「な、何を!」
乙女ブラックの殺気を感じ取り、中島の体が変化しょうとした。
「中島!」
その時、別のカーテンから、理香子が飛び出して来た。
「九鬼!やめて!」
「理香子さん…」
中島は、理香子の姿を見ると、変化するのをやめた。
理香子に、人間ではなくなる自分の姿を見せたくなかったのだ。
「来るな!」
中島が、理香子に顔を向けた瞬間、乙女ブラックの体が消えた。
「ぐわっ!」
一瞬で間を縮めた乙女ブラックの拳が、中島の体を貫いていた。
「り、理香子さん…」
乙女ブラックが胸から腕を抜くと、ゆっくりと中島は鮮血を撒き散らしながら、倒れていく。
「きゃああ!」
理香子の絶叫が、響く。
乙女ブラックは、理香子に向かって笑って見せた。
「く、九鬼!!」
理香子は走り出した。
「貴様!よくも!」
激しい雨が、地上に降り注ぎ…分厚い雲が、月の明かりを遮っていた。
それなのに、人工的につくられた街灯の灯りが、雨に反射して、昼間よりも明るくしていた。
だけど、人の気配はない。
「どうした?闇の存在である自分が、光の中にいて、戸惑っているのか?」
耳許に、自分の声が聞こえた刹那、鳩尾に激痛が走り…九鬼は、川のように水が流れるアスファルトの上に倒れた。
「お前は、ここにいろ」
全身に力が入らないが、目だけが動かせた。
自分のそばを通り過ぎ、歩いていく者。
「な!」
九鬼は絶句した。
後ろ姿でもわかった。
「乙女ブラック!?」
雨でできた光のカーテンの向こうから、学生服の男が姿を見せた。
「な、中島!」
いつのまにか…雨は激しさを増し、舞台から倒れた九鬼の声をかき消し、姿を隠した。
九鬼の叫びは、中島には聞こえなかった。
乙女ブラックを見て、目を見開く中島…。
「九鬼さん…」
「…」
乙女ブラックは無言で、拳を握り締め、中島に向かって構えた。
「な、何を!」
乙女ブラックの殺気を感じ取り、中島の体が変化しょうとした。
「中島!」
その時、別のカーテンから、理香子が飛び出して来た。
「九鬼!やめて!」
「理香子さん…」
中島は、理香子の姿を見ると、変化するのをやめた。
理香子に、人間ではなくなる自分の姿を見せたくなかったのだ。
「来るな!」
中島が、理香子に顔を向けた瞬間、乙女ブラックの体が消えた。
「ぐわっ!」
一瞬で間を縮めた乙女ブラックの拳が、中島の体を貫いていた。
「り、理香子さん…」
乙女ブラックが胸から腕を抜くと、ゆっくりと中島は鮮血を撒き散らしながら、倒れていく。
「きゃああ!」
理香子の絶叫が、響く。
乙女ブラックは、理香子に向かって笑って見せた。
「く、九鬼!!」
理香子は走り出した。
「貴様!よくも!」