天空のエトランゼ〜赤の王編〜
(一瞬でも、封印が解けた時…王は、復活する!)

リンネは、誰もいない前方を睨んだ。

(フレア…。あなたは、嬉しいのかしら?愛する男が復活することが…。そして)

リンネは、後ろを見た。

浩也を見る為ではない。

その先にある海。

海はすべて、繋がっている。

そう…遥か海底に、眠る者達のもとへも。




「もうすぐ…船着き場に到着する。島までの海路には、強力な魔物がいないが…気を抜くなよ!」

前田は車内の通路に立ち、生徒達に報告した。

約6時間という長旅をえて…バスは、海沿いにある小さな港町に突入した。

空には、カモメの群れが飛び回っていた。

カモメが舞っている町は、安全だと言われるように、比較的のどかな雰囲気を醸し出していた。

といっても、町の周りには警備員が立っていた。

カードシステム崩壊によって、魔力を無駄に使えなくなった町は、結界を張るのではなく、町の周囲に人を配置させているのだ。

大月学園のバスを見て、警備員の1人が敬礼した。

バスの中で、前田は頭を下げた。

「着くぞ!」

バスは町の中心部に向かわずに、左に曲がり、船着き場を目指す。

対魔物用に、武装された漁船の向こうに、一際目立つ船があった。

いや、船ではなかった。

小型の潜水艦だ。

それは、島に渡るまでに攻撃され、沈没した場合を想定して…だったら、潜水艦にしょうと、前校長の独断で購入されものだった。

海面から、半身を出した姿をさらしている潜水艦を見て、輝は驚きの声を発した。

「船って…潜水艦!?」

「フン」

輝の前に座るさやかは、鼻を鳴らし、

「防衛軍の解体のどさくさに、手に入れたのよ。勿論、ただでね」

近付いていく度に、大きさを実感していく潜水艦を睨んだ。

バスは、船着き場近くの駐車場内で止まった。勿論、大月学園所有の駐車場である。

何もない更地の駐車場に、降り立った前田に、潜水艦の方から警備員が走り寄ってきた。
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