天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「は?」

緑は、顔をしかめた。

「あ、あれですね!」

今まで落ち込んでいた輝の顔が、ぱっと明るくなり、

「風邪でもないのに、体育の授業が休むのはおかしい!」

と言った瞬間、緑の裏拳が輝の顔面にたたき込まれ、黙らされた。

「そんなのが、理由になりません!あ、あたしだって…」

緑が口ごもった瞬間、鼻血を流しながらも、輝は嫌な顔をした。

それを見逃さなかった緑の後ろ回し蹴りが、再び輝にヒットした。

「そこ!暴れない!」

注意しょうとした前田は、輝に気付き、

「あ…」

注意するのを止めた。


そんな様子を微笑ましく見ていた高坂は、緑がとどめを刺す前に、口を開いた。

「舞本人は、来れないが…自分の代わりを寄越しているらしいぞ」

「代わり?」

木刀を構えた緑が、高坂の方を振り返った。

「ウム」

高坂は頷いた。





「…」

プレハブの前で、無言で立つ九鬼の後ろから、誰かが近づいて来た。

「フフフフ…」

不気味な笑いとともに。

「!?」

九鬼は振り返った。

「我は戻ってきた。貴様が住む戦場に…」

妙に短いスカートに、短髪の金髪。

そして、両手に持つ日本刀。

「九鬼真弓!我が好敵手よ!再び貴様を相まみえる為に、地獄から戻ってきたぞ!」
「生徒会長!すまん!手伝ってくれ!」

金髪の女の向こうで、前田が九鬼を呼んだ。

「はい!」

九鬼は返事をすると、日本刀を突き出している女の横を通り過ぎた。

「ま、待って!九鬼真弓!」

一瞬事態を飲み込めなかった女は、気を取り直して九鬼を追いかけようとしたが…足が勝手に、違う方向に走りだした。


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