天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「その通りだ!」

加奈子は頷いた。

そして、尻尾を使い、九鬼の腹を強打した。

「うぐっ!」

目をそらしていた九鬼は、鞭のようにしなり音速をこえた尻尾を避けることができなかった。

直撃し、ふっ飛んだ九鬼の口から…血が流れた。

何とかすぐに身を起こしたが、立ち上がることはできなかった。

「そうだ!魔獣因子に、おれは目覚めた。月影として、お前達とともに戦う日々の中でな!」

加奈子は羽をたたむと、ゆっくりと降下していく。

「人間ではなくなったおれは、お前達を裏切り…お前達と戦った」

地面に足がつくと、九鬼に向かって歩き出した。

「そんな中で、おれは…彼女に会った」

「ク…」

何とか立ち上がった九鬼の目の前に、加奈子がいた。

加奈子は微笑むと、 九鬼の頬を尻尾でぶった。

また地面に倒れる九鬼。

そんな九鬼を横目で見ながら、

「女神…テラである赤星綾子にな!」

睨み付けた。

すぐに起き上がろうとする九鬼に向かって、再び尻尾を振るった。

九鬼はその動きを見て、腕でガードしょうとした。

「馬鹿目!」

尻尾は突然軌道を変え、反対側から攻撃を仕掛けた。

その動きを人の目で追うことは、不可能。

再び九鬼はふっ飛ぶと確信した瞬間、加奈子は目を疑った。

尻尾が、九鬼の体を通り過ぎたのだ。

「残像!?」

と気付いた時には、加奈子の顎は下から蹴り上げられていた。

「ルナテックキック!二式」

倒立の格好で蹴ったと見えた次の瞬間、顎を突き上げられて空を見上げる形になった加奈子の目に....月下に舞う九鬼の姿が見えた。

「月影キック!」

足が光り、まるで流れ星のようになった九鬼の体が、加奈子目掛けて.....落下してきた。
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