天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「うう…」

高坂は、何も言えなくなった。

そんな高坂を見て、理沙は前を向いた。

「でも…仕方がないかもね。どの部分かまではわからないから…変なところだったら、何かも理解できないかもしれない」

「変なところ?」

1人納得している理沙に、高坂は詰め寄った。

「あれは、何ですか!」

理沙は笑いを止め、少し声を低くくし答えた。

「知らない方がいい」

「なぜですか!」

そんな言葉で、納得できない高坂。

「なぜならば…あれは、人を惑わす。一度関わったならば…余程の人間でなければ、心が喰われる」

理沙の心が喰われるという言葉に、高坂ははっとした。

(森田部長!)

目を見開いたまま…凍り付いた高坂。

その反応は、背を向けていても、理沙はわかった。

「天空の女神も、その存在を気付いているようだけど…そのもの自体を知らない。今どこにあるかも感知できていない」

「天空の女神…」

高坂は、息を飲んだ。

「彼女が、味方になってくれればいいんだけど…多分、それどころではなくなる」

理沙は、遠くを睨んだ。

「どう意味ですか!俺達は、女神ソラを何とかする為に、この島に来たんですよ!この島で、総力戦を…」
「それが、愚かだったのよ」

理沙は、高坂の話を遮った。

「人間如きに、女神は倒せない。それよりも何よりも…人は、あなたのようなものばかりじゃない」

「だったら、俺達はこの島に来たのは無意味で!ただ殺されるだけだというんですか!」

思わず声を荒げた高坂に、理沙は首を横に振った。

「無意味ではないわ。だけど…無謀ではあった」

「く!」

高坂は拳を握り締め、

「だったらなぜ!あなたは、俺達に警告した!大勢の人が死ぬと!」

理沙に近付こうとした。

しかし、理沙のプレッシャーで前に出れない。

「高坂部長…」

理沙は横顔を向けた。

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