天空のエトランゼ〜赤の王編〜
そして、十六の肩に飛び移ると無理矢理アイパッチを外し、再び眼窩の中に戻った。

その間…十六はフリーズしたかのように、動きを止めていた。

起動音の後に、十六は目をパチパチさせた後、舞の声で疑問を口にした。

「それ程の傷を、彼女はどうしてつけられたのか?」

「それは、気になるが…プライバシーの侵害になるな」

落ち込んでいた高坂は、気を改めると、真由のお姫様抱っこで抱き上げ、周囲に目をやった。

「先程の銃撃で、魔物どもがざわついている。囲まれる前に、移動するぞ」

「ど、どこにですか?」

先程から舞の声を発している十六が、訊いた。

「休憩所だ」

高坂は、十六達に背を向けると、林道を外れて歩き出した。

「休憩所?」

十六が眉を寄せ、

「そんなものが、どこに?」

高坂の背中に尋ねた。

「地図には載っていない。その場所を見つけるのも、試練の一つだからな」

一度、島に来たことのある高坂は、休憩所を見つけていた。

島には、合計三ヶ所の休憩所と言われる隠れ家がある。

その一つが、湖の近くにあった。

「ぶ、部長!」

梨々香の銃口から逃げながら、輝は後に続いた。

「休憩所ねえ〜」

打田も歩き出した。

「殺す!」

梨々香は銃口を向けながら、続いた。




その頃…三日月の形をした島の一番北の岬に、さやか達は戻ってきた。

そこにある休憩所は、岬の先…崖を覗き込まないと気付かない。

横になり、下に手を伸ばした辺りにある紋章に触れないと、休憩所の入り口は開かない。

「そんなところに…。よく気付きましたね」

仰向けになり、顔だけ出すと、崖の真下の海を見つめながら手を伸ばすさやかを見て、緑が後ろで顔をしかめた。

「気付いたのは、高坂よ」

さやかの手が何とか、大月学園の紋章に触れると、緑の真後ろに魔法陣が出現した。

「しばらく…休もう」

さやかは立ち上がると、後ろにいる緑、カレン…そして、少しぐったりとした浩也を魔法陣に促した。




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