天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「まずは、理香子を救出する!」

乙女レッドこと結城里奈は、眼鏡のレンズに映る真由のレベルを見て、冷や汗を流しながら、他の乙女ソルジャーに叫んだ。

「まともにやっても、絶対勝てないからね!」

「だりぃな〜」

1人ゆっくりと森の中から姿を見せた乙女グリーン花町蒔絵は、大欠伸をしながらも、かけた眼鏡と背中にショルダーバックのように装着されたキャノン砲からビームを発射し、片手で光のリングを投げまくっていた。

「チッ!」

無軌道な攻撃が効かなくも、真由を翻弄した。

周りの地面が爆発し、土埃が真由の視界を奪った。

「乙女スプレー!」

いつのまにか、真由のそばまで来た乙女ブルーこと五月雨夏希が、スプレーを真由の顔の傷口と目に向かって噴射した。

「今よ!」

慌てて逃げる夏希の合図に、二つの黒い影が草原を疾走した。

「蘭花!胸元を狙うわよ!」

乙女ブラックになっている九鬼の言葉に、もう1人の乙女ブラックである黒谷蘭花が、顔をしかめた。

「あたしに指図するな!」

「わかったわ」

九鬼は軽く口元を緩めた後、きゅっと唇の端を上げた。

「いくぞ!」

蘭花の声に合わせて、

「おお!」

九鬼は頷くと、同時に飛んだ。

「ダブルブラックキック!」

2人の乙女ブラックの蹴りが、スプレーによって視界を失っている真由の胸元を蹴った。

「うわああ!」

ふっ飛ぶ真由。

着地した2人の横に、乙女パープルこと平城山加奈子が立つ。

「止めだ!乙女包丁!乱れ桜!」

倒れた真由の頭上から、無数の包丁が落ちてくる。

「舐めな!」

包丁はすべて、真由が放った雷撃によって消滅させられた。

「く!」

顔をしかめた加奈子の目に、怒りを露にした真由が立ち上がろうとした。

「乙女バズーカ!」

乙女ピンクこと竜田桃子が木陰から飛び出すと、再びバズーカをぶっ放した。

直撃したが、桃子は恐怖から、バズーカをマシンガンに変えると、引き金を弾いた。

「犬上君!」

その隙に、九鬼は黒焦げになった輝を抱き上げると、打田のそばまで移動させた。




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