天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「高坂ダイヤモンド!火の玉アタック!」

高坂はさやかを背負いながら、魔物の群れに突進した。

「だ、だから!いちいち!名前を叫ぶな!」

無意識にムーンエナジーを全身に纏うと、技の名前通り火の玉のようになった高坂は、そのまま一気に駆け抜けた。

(死んだな…あたし)

さやかは、覚悟を決めた。




「浩也!?」

島に来てからの浩也の様子が気になり、女部屋と反対側にある部屋の扉をノックしてから開けたさやかは、眉を寄せた。

「チッ!いない」

舌打ちすると、カレンは小屋から出ることにした。

「ま、待ちなさいよ」

女部屋で仮眠を取っていた緑が、まだすっきりしない頭を叩きながら、床の扉を開けようとするカレンに、近づいてきた。

「ど、どこいくつもり!それに、如月部長は?生徒会長もいないじゃないの?ど、どうなっているのよ!」

「暢気な女だ」

カレンは扉を開けると、数メートル下の地面を見つめながら、

「戦いに決まっているだろが!」

一気に飛び降りた。

「ち、ちょっと!」

慌てて、緑は床に開いた扉から、顔を覗かせると、地面に着地したカレンに叫んだ。

「今、夜だぞ!」

その言葉に、

「それが…どうした?」

カレンは胸元にかかったペンダントから、ピュアハートを抜き取ると、前方の闇を横凪ぎに払った。

居合い抜きのように素早い斬撃は、闇に潜んでいた魔物達を切り裂いた。

「そんなことが…あたしを止める理由になるか」

そして、その斬撃の勢いそのままに、カレンは闇に向かって飛び込んだ。

「な、何よ!」

カレンの見事な攻撃に惹かれながらも、緑は毒づいて見せた。

「あ、あたしだって…」

緑は地面を見つめて、唾を飲み込むと、

「情報倶楽部の一員なんだからね!」

勢いと決意に任せて、扉から…飛び降りるのは止めて、木を伝いながら、下に降りた。

「え、えっと…」

しかし、どこに向っていいのかわからない。

少し途方に暮れていると、夜の静まり返った空間に2つの音が聞こえてきた。





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