天空のエトランゼ〜赤の王編〜
一つは、魔物の断末魔。

その声が一番近い。恐らくカレンが戦っているのだろう。

そして、その声と違う方向から…懐かしい声が聞こえてきた。

思わずカレンの方へ走りだそうとしていた緑は、眉を潜めた。

そして、声が聞こえてきた方に顔を向け、首を傾げた。

「高坂ダイヤモンド…?」






「うわあああ!」

合宿所前までテレポートしてきた浩也は、塵となった人間の気配に絶叫した。

「…敏感な子」

その様子を森の中から見ていたリンネは、クスッと笑った。

「でも…その方がいいわね。やり易いわ」

「全員!退避せよ!」

浩也を見ているリンネの後ろ…森の奥から、声が近づいてきた。

どうやら、先程進軍した忍者部隊が引き上げて来たようであった。

「夜が明けてから、再び攻め入る!各自、結界を越えたら傷の手当てと、武器の補充を行え!」

命からがら逃げてきた司令官の後ろには、30人の忍者がいた。

「それに、本部から増援を…うん?」

一瞬で気配を消したリンネは、その寸前…軽い殺気を司令官に向けた。

その殺気に無意識に気付いた司令官が、顔を向けると…視線の先にいる浩也に気付いた。

「生徒か…。まだ生きている者がいたのか?」

泣き叫ぶ浩也に、目を細めながら、司令官達は森を出た。

司令官がちらっと後ろを見ると、忍者の1人が前に出て、浩也に駆け寄った。

「生き残っているのは、君1人か?」

一応、念の為に警戒しながら、そばまで来た忍者の質問に、浩也はただ泣くだけで答えない。

それを恐怖からの錯乱状態ととらえた忍者が、肩をすくめながら、司令官の方を向いた瞬間、

「騙されないで!」

木陰の中から、ボロボロになった服を着て、引きずるような歩き方で、リンネが出てきた。

そして、震える手で浩也を指差し、こう言った。

「この子は、魔神よ。さっき、あなた方の仲間を1人で全滅させたわ!」

「ま、魔神!」

司令官は後退り、残りの30人は、銃や小刀を構えた。



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