姪は叔父さんに恋してる


「思い当たらない。」


「あら。」

思わず声が出てしまった。

叔父さんは、落ち着いた顔のまま、困った声を出すという器用な芸当をやってのけたのだ。

もっと称賛の言葉をあげたかったけど、予想外の反応に私は意欲を削がれてしまい、

「分かった。ごめんね。」

小さく肩を竦めて謝った。

言っておくけど、別に叔父さんに呆れたわけじゃない。逆。

こんな可愛い反応をする叔父さんを疑うことが愚かしく思えたからだ。


思い直せば、今日はいちいち下らない質問で二人の仲を険悪にしていい日じゃない。

叔父さんと一緒にいる限り、私は楽しく振る舞わなければ。
これは意欲であり、義務だ。

「じゃあ叔父さん、少し早いけどK高行こう。」

私はパッと笑顔を咲かせると、状況に戸惑っているらしい(もっとも顔には出ていないけど)叔父さんの手を取り、リードすべく引っ張った。


その内。その内訊ける。
きっと…。


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