姪は叔父さんに恋してる
私の八つ当たりは叔父さんにまで向けられる。
八つ当たりと言っても、さっきのキャッチと比べるとずっと軽いものだ。
暴力に出たら嫌われそうだし、もしくは過剰に心配させてしまいそうだし、そうでなくともただのスキンシップととられるかも。
この鈍感め。大好きだ。
「いるよ、好きな人。」
私もあっさり言い切れば、叔父さんは吃驚した様子。
ちょっと目を見開いて、私を見下ろしてくる。
その反応に、私は僅かな期待をするも、
「そうか、八智絵ももう年頃だもんな。好きな人くらいいて当たり前か。」
やけに爽やかに自己解決されてしまった。
…娘を心配する父親の云々って自分で言ってたくせに。
ちなみに言わずもがな、その好きな人とは一人しかいない。
私の隣で歩幅を合わせて歩いてくれている智充叔父さん、ただ一人。
「…気にならないの?」
「多分聞いても誰か分からないだろうから。」
あんただよあんた!
ああもう、やきもきするなぁ!