姪は叔父さんに恋してる
「大賑わいだね。」
「そうだね。」
反応が素早く、かつ可愛い。
でも大人だからか、叔父さんは自主的に学校内に入ることを躊躇っているみたい。
私よりはしゃがないようにしているのだと思う。
だから私は、あたかも入りたくてたまらないといった顔をして、叔父さんの手を強く引っ張った。
「叔父さん、行こ行こ!」
すると案の定、叔父さんは僅かに声のトーンを上げ、
「転ばないようにな。」
そんな、半分意味のないセリフを言った。
はしゃぎたくて仕方ないくせに素直じゃないな。可愛いな。
私が手を引いて、叔父さんは私に引かれるままになっている。
その最中も、叔父さんは懐かしの校舎を見上げて、
「全然変わらないな…。」
そんな独り言を呟くくらい、叔父さんは目の前の母校に見入っていた。