姪は叔父さんに恋してる


―――


今どきの文化祭は、物の売り買いは現金でなく、専用の金券を使うらしい。

校舎近くの受け付けテントには金券を売るコーナーと、パンフレットを売るコーナーが分けられていて、どちらにも腕章を巻いた生徒達が行儀よく座っている。

周囲が騒がしい分、そのテントは何だか異質だった。


「八智絵、お金預けるから金券買っておいで。」

自分はパンフレットを貰うからと、叔父さんは私に千円札を渡してきた。

たかだか高校の文化祭に千円は多いんじゃないかとも思うけど、叔父さんの決定に口出しはしない。

「はーい。」

お金を受け取ると、一度ニコリと笑顔を見せ、金券売り場に爪先を向ける。

金券売り場とパンフレットの受け付けは、ほんの数メートルしか離れていなかった。



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