姪は叔父さんに恋してる


―――


「叔父さん、ここは何?」

「そこは視聴覚室。
よく昼休みに忍び込んでは、持ち寄った映画のビデオを見てたなぁ…。」

しみじみする叔父さん。

「あ!あの天井のは?」

「あ、懐かしい。卒業式に叔父さんの同級生が書いた落書きだ。
“永休不滅”。でも“久”の字が間違っているから、先生達も面白がって消さなかったんだろうな。」

ウキウキする叔父さん。


楽しい。

校舎内は、私にとっても叔父さんにとっても宝の山だった。

改装工事もしていない古びた校舎は、15年前のままだと叔父さんは語る。
当時の思い出も、全部そこには残っていた。

そして私は、そんな楽しげな叔父さんの姿だけで眼福。


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