姪は叔父さんに恋してる


逸話のある落書きや部屋が多いせいか、文化祭の出し物の中には、K高探検ツアーなるものまであった。

今も、生徒が発行してくれたツアーパンフレットを片手に、叔父さんと一緒に校内を回っている。
こんな楽しいものだなんて。文化祭。


「あ。ほら八智絵、見てごらん。
叔父さんが1年の頃に着た衣装だ。
マネキンに着せてずっと置いてあるんだ。」

「はうっ…!!」

第二自習室のロッカーの中に入れられていたマネキン。
それにもビックリしたけど、マネキンが着ているのは真っ黒な吸血鬼の衣装だ。

これを着て叔父さんが劇をしたのかと思うと鼻血が止まらなくなりそう。
必死で抑えているけど。

「カッコイイなぁ…。
ねえ叔父さん、もっと何かないの?」

無邪気な顔してそう訊ねれば、叔父さんはまた顔中に花を咲かせて、

「よし、じゃあもっともっと回ろう。」

引き続き、K高ツアーは行われた。



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