姪は叔父さんに恋してる
運ばれてきたのは、とっても良い香りのする…紅茶。
通じゃないから種類なんかは分からない。
それを一口すする。
「…美味しい。」
と、言ってみたものの、実際は砂糖を入れ忘れたために渋い。
「八智絵、顔が美味しくないって言ってるぞ。」
すると叔父さんはさりげなく、添えてあった砂糖のスティックを開けて、私の紅茶に入れてくれた。
しかも2本。
「あ、ありがと。」
「ミルクは?」
スプーンで私の紅茶をくるくる回しながら、叔父さんは問う。
…なんか本当の保護者みたい。
お父さんみたいな包容力と…お母さんみたいな優しさ。
それはそれで凄く嬉しいんだけど、…その分、私との釣り合いがとれなくなってく気がする。
こんな惨めな想いをするなら、こんな虚しい気持ちになるなら…叔父さんの優しさなんて…
「…欲しくない。」
叔父さんはミルクを入れないまま、カップを返してくれた。