姪は叔父さんに恋してる
「ねえ叔父さん、私に隠し事してるでしょ?」
言葉には躊躇せず、一気に言った。
その時だ。
カップに口を付けたまま、叔父さんは目を開いた。
…嫌な想像、させないで。
「…どうしてそう思うんだ?」
思い当たらない、とは言わないんだ。
人は嘘を吐いたり、自信の無いことを言うとき視線を逸らすと聞くけど、叔父さんはまったく逸らさない。
真っ直ぐな視線が突き刺さる。
ぞくりとした。
これは良い意味で。
「叔父さんと華実先輩の言うことが似てるの。」
「…………。」
叔父さんはそれ以上お茶を飲もうとせず、かと言ってカップを置こうともしない。
「叔父さん、この前の電話で言ってたよね?
“お父さんが何か変なことを言ってなかったか?”って。
華実先輩もね、“叔父さんに何か言われてないか?”って訊いてきたの。」