姪は叔父さんに恋してる


「…時々、やけに鋭いなとは思っていたけど…。」


叔父さんはどこか諦め気味に、カップを机に置く。

やっぱり、何か隠してた。


でもそれを素直に話してくれるかと言われたら、



「だが、ごめん。
八智絵には言えない。」



「え。」


それは否だ。


「なに、それ。」

私は呆然と、ほとんど意識しないで唇を動かす。


確かに、言いたくないことを無理に言わなきゃいけない場面でもないし、言ったところで叔父さんが得をすることもない。
だって得なことを隠すわけないもの。

でも、それは私が叔父さんに初めて感じた…“憤り”。


「何それッ!?
なんで隠すのッ!!」


キレた。


拳を握り締め、躊躇うことなくそれを机に叩きつける。

ガシャンと大きな音が響いて、二人のカップはその拍子に床に落ちる。

カップが割れる盛大な音で、室内中の人の目が集まった。


< 133 / 245 >

この作品をシェア

pagetop