姪は叔父さんに恋してる


「………私、帰る…。」


「え?」

叔父さんの声を半ば無視。

私はふらりと席を離れると、叔父さんのすぐ横を通り過ぎ…、


「八智絵、待ちなさい。」


このまま見逃して欲しいのに、叔父さんに手を掴まれた。

感触が気持ちいい。
温もりが優しい。

…でもそれは、今は欲しくないんだ。


「…気を悪くさせたなら謝る。…ごめん。」


謝るくらいなら本当のこと話してよ。
そのほうがずっと機嫌が良くなるのに。

…叔父さんは私のものなのに。


「私、ただ帰りたいの。
放してよ叔父さん。」

「放したら、八智絵は一人で行ってしまうだろ?
だから放したくない。」

「…………。」

これを、いつもの気持ちで聞けたならどんなに良かったか。


でも分かってる。
叔父さんは、分からず屋の私を宥めようとしてくれてるだけなんだ。


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