姪は叔父さんに恋してる
そう考えると、憤りがまた湧いてきて、
私は思いっ切り手を振り払った。
「……っ、」
叔父さんが怯んだ隙に、
扉目指して一気に走る。
叔父さんが追いかけてくることは期待してなかった。
当然ながら。
溢れた紅茶の池を踏んだせいで出口までの道のりに紅茶の跡が残る。
「……はっ…、」
扉に手をかけて一瞬振り返る。
席に座ったままの叔父さんは…
「…………。」
怒っても、悲しんでも、驚いても、勿論笑ってもいなかった。
ただいつも通りの目とかち合って、余計に怒りが湧く。
私のことなんて何とも思ってない、と言われているみたいで。
「ばか…っ!」
小声で吐き捨て、その後はもう振り返りはしなかった。
最低なことに、私は叔父さんを一人残したのだ。