姪は叔父さんに恋してる
出店も何もかも無視して、一目散に昇降口へと駆ける。
途中、数人の生徒にぶつかったけど小声でしか謝らなかった。
「……あ。」
窓の外に受け付けのテントを見つけた時、私は今まで忘れていたあることを思い出した。
ポケットに手を入れ、その中に入っている筈のものを取り出す。
受け付けの人に貰った、2枚の喫茶店のチケットだ。
「…………。」
でもこうなってからでは、今更これを使えるわけもない。
…本当は、少しだけ行きたかった。
叔父さんと二人だけで語り合えたら…。
「……あ、そっか…。
会議室じゃなくて、この喫茶店で訊き出せばよかったんだ…。」
そうすれば、もっと真面目に話してくれたかも。
話を聞いてくれたかも。
…気持ちを察してくれたかも。