姪は叔父さんに恋してる


―――


「こんにちはー!
智子伯母さん来たわよー!」


インターホンも鳴らさず、智子伯母さんは扉の前で元気な挨拶をした。

二階にいる私にも聞こえるからその声量は相当のもの。


すぐに「はーい。」とお母さんが玄関に駆けていく。

ずっと部屋にこもっているのも勿体無い気がするから、私も挨拶だけしようと一階に下りることにした。


ふと、ケータイに目をやる。


着信は無いまま。
今更何を期待してるんだか…。

「…トモミくん、また叔父さんの着信運んできてよ…。」

意味ないことも呟きたくなる。

足が止まりかけていた時、

「八智絵ー!
伯母さんに挨拶なさーい!」

伯母さんにも負けないお母さんの声が。

やっぱり姉妹なんだな、と感心すら覚える。
まさか叔父さんも大声出せるんだろうか、なんて。


< 147 / 245 >

この作品をシェア

pagetop