姪は叔父さんに恋してる


私は、自分が鈍いとは思わない。

でも、ここまで叔父さんに言われないと気付かないなんて、鈍いと言わず何と言う?



「八智絵…、好きだ…。」



叔父さんの声が、真っ直ぐ頭の中枢に響く。

叔父さんのこと、鈍いと思ってた。
ウブだと、思ってた。

でもそう思ってたのは私だけ。


叔父さんはずっと前から…、私が悩むずっと前から、私のことで苦しんでいた…。

嬉しい、とは思わなかった。

代わりに、知らなかったとは言え、その苦しみを放置していた自分が腹立たしかった。

叔父さんを喜ばせるのが私の役目なのに。


「これが本心だ。八智絵。」


じゃあ、叔父さんが言ってた“変なこと”って、お父さんが私に叔父さんのしたことを言わなかったかどうか、ということ?

華実先輩が気にしていたのは、叔父さんが私に気持ちを話したのか、ということなの?

隠し事をしてたのは…本心を知られたくなかったから?

私を、傷付けると思ったから?


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