姪は叔父さんに恋してる
すると叔父さんの手が、私の顎に触れた。
導かれるように叔父さんを見上げて…、その綺麗な瞳を見つめる。
本当に、綺麗……。
こんな綺麗な人が私の叔父だなんて…。
嬉しいようで、やっぱり少し切ない。
でもその切なさを埋めるように、叔父さんは少しずつ顔を近付けて……、
「八智絵が望むなら……。」
「…おじさ………、」
…………。
………。
…意識の端っこで、歪な音を聴いた。
何かが切れるような不気味な音。
何?何の音?
すごく、胸がざわめくのはどうして…?
ふと私は、ここが工事現場だということを思い出す。
ムードの欠片も無い場所…。
そして、一般市民が踏み入れてはならない危険地帯。
見たくないのに…視線を逸らしたくないのに私は、叔父さんよりも上方にある…、
降り注いでくる、錆色の鉄骨の雨を、凝視してしまった。