姪は叔父さんに恋してる


先生はやっぱり少し渋って、



「分かりました。では、終わったら声をかけますので。」



あっさり了承してくれた。

感謝の気持ちを込めて深く頭を下げると「よして下さい」と笑われ、

「親御さんに連絡するなら、入り口横の公衆電話を使うか、病院の外でケータイを使用して下さいね。」

軽い会釈と共に、先生は手術室へと消えていった。


「…………。」


残された私は床を見つめたまま、まだポロポロと泣き続ける。

実感が早い。

叔父さんのいる世界が、こんなに綺麗だなんて。


叔父さんの愛情を貰って、叔父さんに命を救われて、私にはその恩を一生かけて返す義務が生まれた。

面会が許されるまで、叔父さんに何て言うか考えておかなくちゃ。


両親への連絡は、私の中ではそれほど重要視されてはいなかった。


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