姪は叔父さんに恋してる


―――


頭を撫でられるのが心地よかった。
大きくて温かい手が本当に好きで、それが叔父さんのものだから、幼い頃の私はどんどん惹かれていったのかもしれない。

叔父さんが私に特別な感情を抱いたという5才の頃には、私はもう盲目的に叔父さんが好きだった。

幼稚園のお迎えの際には、叔父さんに抱っこされた友達と殴り合いの喧嘩を展開し、小学校の授業参観日には見に来てくれる叔父さんのために39度の熱でも登校した。

どちらも叔父さんは少し困った顔をした。
そんなことをしては駄目だ、と教わった。

でも叔父さんは必ず、私が困っていると助けてくれた。


一族集まって出掛ける日なんか、迷子になった時には、いつも叔父さんが捜し出してくれたよね。

宿題も遊びも、小さな私を楽しませてくれたのは叔父さんだけ。
私はきっと子どもながらに、叔父さん無しでは生きていけない体になったんだ。

だから叔父さんが死ぬなら…、私も死なないと。
叔父さんのいない世界は苦痛だから。

叔父さんのいる世界の素晴らしさを、二度と忘れられなくなったから。


< 206 / 245 >

この作品をシェア

pagetop